研究内容

RESEARCHES

レベニューマネジメントと
プライシング

サプライチェーンマネジメント

当研究室では、モノづくりやサービスの提供など、企業が人や社会に対して価値を生み出す活動を広く「生産システム」として捉え、不確実性を伴うシステムにおいて数理的手法やデータを活用することで、さまざまな問題解決法を研究しています。

レベニューマネジメント と プライシング

研究内容イラスト
私たちが買い物をするときに学割や平日割引,早期予約割引などの割引サービスをよく目にすることがあります。 これは、顧客にとってお得なサービスですが、企業にとっても商品が売れにくい時期に割引販売することで顧客を呼び込むことができるため経営の効率化に役立っています。 では、企業がこの取り組みによって収益を増やすためには、どのように割引サービスを設計(デザイン)すれば良いでしょうか?そのためには、どの商品・サービスを、どのような顧客に、どのタイミングにいくらで販売すれば収益が増加するか?という問題を考えます。 特に、多くの商品・サービスでは、販売できる量と販売できる期間が限られていることが多いので、安い価格を付けてたくさん販売することや、高い価格を付けて売れるまで待つことができません。(例えば、映画のチケットは上映時間までに売らなければならず、劇場の座席数も限られています。) また、価格を決める時点で将来どのような顧客がいつ購入に訪れるのかもわかりません。 このような複雑な問題を解決する手法をレベニューマネジメントといい、1990年以降の航空産業で取り入れられたことをきっかけに、現在では、鉄道、電力、ホテル、イベント、レンタカー、ファッション、レストランなどの様々な業界で導入されています。
 ここで、レベニューマネジメント業務の流れを簡単に紹介します。(1)まず過去の販売履歴や販売担当者の意見を参考に顧客を学生や社会人などにグループ分けし、それぞれのグループの顧客がいくらであれば商品を購入するのかを調査します。 その他に、同じ商品を販売している競合他社の状況やS N S上での流行の調査なども必要です。(2)次に、調査から得られたデータを用いて需要予測を行います。 (3)需要予測の結果を用いてそれぞれのグループに対して収益が最大化されるように価格と販売のタイミングを決定します。(4)得られた最適な販売戦略が本当に有効かどうかシミュレーションを行い検証します。(5)実際に販売を行い、売れ行きを見ながら需要予測と価格の決定を見直します。
 (1)から(5)までを行うためには、オペレーションズ・リサーチや統計学、経済学、マーケティング、データ分析、プログラミングなど様々な分野の基礎知識が必要です。学生は、1,2年次にこれら専門知識を学び、3年次に研究室に配属されたあと、レベニューマネジメントに関連する様々な課題について企業や他大学と共同研究を進めています。
研究テーマ(例)
  • ダイナミックプライシングの理論研究

    価格変動に伴う消費者の不公平感に関する研究

    顧客の購買行動に関するデータ分析

    販売戦略の評価のためのシミュレータ開発

    不確実性の緩和を目的とする新規サービスの導入効果に関する分析

  • ドット

    サプライチェーンマネジメント

    研究内容イラスト
    サプライチェーンにおける価値を高めるためには、企業のグローバル化に伴う不確実要因の増加やネットワークの複雑化、消費者ニーズの多様化などの変化に柔軟に対応し、顧客価値の向上とコストの削減の双方が求められます。当研究室では、消費者を起点とするサプライチェーンに着目し、消費者の購買行動をもとに、商品の最適な生産と物流による利益の最大化を目的とします。
    研究テーマ(例)
  • 価格変動リスクを考慮した最適在庫政策に関する研究

    生産に用いる原材料の価格が商品市場で変動する場合に、市場価格が高いときには原材料の購入量を減らし、手持ちの在庫量を用いて生産を行い、市場価格が下がったときには、原材料を多く購入することで生産コストを削減することができます。このような市場価格の変動と生産物に対する需要量の変動の双方を考慮し、利益が最大となる最適な生産・発注政策を求める数理モデルの構築を行います。

    供給リスクを考慮した最適在庫政策に関する研究

    農水産物などの商品は天候不順などにより生産量が変動します。このような生産量の不確実性を伴う商品に対しては、複数の供給業者との契約により、供給リスクを低減することが考えられます。ここでは、それぞれの供給業者にいつどれだけの量を発注する契約を結べば、安定的に調達が可能となるかを考えます。

    廃棄削減のための最適発注および値引き戦略に関する研究

    賞味期限を迎えた食品が廃棄されてしまう食品ロスは社会的問題として関心が高まっています。レベニューマネジメントを応用し、消費者の購買行動を考慮に入れた適切な値引きやポイント付与の戦略により、販売収益の増加と廃棄数の削減を達成するためのモデリングおよびシミュレーションを行います。